ABOUT

劇団紹介

__忘れられない嘘をつく。
2014年に旗揚げ。いわもとよしゆきの脚本・演出作品を上演する演劇団体。「枠の越境」をテーマに活動。
古典的手法を大胆に引用た虚構的な世界観と修辞的な台詞回しを通して、現代社会を寓話的に描く作風が特徴。

受賞歴

2017年佐藤佐吉演劇賞優秀主演俳優賞

沿革・最近の公演実績

2014年11月 『星降る夜になったら』
2015年5月 『反復と回転、および、1秒間の風景、からなる、「少女A」について。』
2015年9月 『きっと、鳴いている。雨は今日も。』
2016年2月 『だから、おかえりは、まだ言えない。』
2017年3月 『今日は砂糖の雨が降るから』
2018年6月 『雲をたぐって天まで飛ばそう。』
2018年9月 『クローゼット』
2018年9月 『人間動物園』

広田淳一(アマヤドリ主宰)氏からの推薦文

いわもとよしゆきは油断ならない――。2016年の冬から春にかけて、私はアマヤドリのツアーでヤツと同じ時を過ごした。抜群の音楽センスを持ったヤツに我々は音響操作を任せ、東京・仙台・大阪と旅を続けていたのだが、道中で得られた結論が、それだ。あいつは油断ならない。

まず、とにかくヤツはおしゃべりだ。気がつけばどんな話題にでも得意満面で首を突っ込みマシンガン・トークを炸裂させている。聞けば大学の弁論部でその弁舌に磨きをかけたというが、あの早口ばかりは天性のものだろう。頭の回転が異様に速い。しかし、話していることにまったく内容が無い。これは一体どうしたことだろう? 実にヤツの発言の95%ぐらいは「ワッショイワッショイ」「ぶっちゃけさー」「みたいなね」といった、あっても無くてもよいような無駄口で構成されているではないか。冗談ではない。いつでも彼が口を挟んだ会話はその目的地を瞬時に見失い、ジャイロの壊れた飛行機のごとくまったく不安定なきりもみ状態におちいってしまう。私は、幾度も彼のワッショイ絨毯爆撃によってそれまでの建設的なトークが見るも無残な戯言の塊と化していく惨状を目の当たりにしてきた。

そう、あいつは油断ならないのだ。一見して、チャラい。スラりと伸びた長身にほっそりとしたスタイル。聞けば慶応ボーイというではないか。おまけに先輩とも後輩ともコミュ力にものを言わせてあっという間に距離を詰め、テンポだけは抜群にいいトークで人を垂らしこむ。気がつけばすっかり、いわもとワールドに我々は引きずり込まれているのだ。危ない。

――だが、風のうわさに拠るとやつの出身は仙台だという。本当か。確かによくよく観察してみると、一見してチャラいヤツの振る舞いの中にも東北人特有の朴訥さが、あるいは含羞をはらんだ臆病そうな目つきが見いだされる。ような気もする。もしや、彼にとってのマシンガン・トークは本来の正直さを隠すための煙幕、韜晦のための照明弾のようなものなのではないか。しかし、なぜそうまでして自分を隠すのか? 単なる照れ屋などと思ってはまたしても、いわもとの思う壺だ。これはきっと、表面に出ているよりもさらに軽薄でどうしようもないドス黒い何か、とても人様にお見せ出来ないような汚物の塊を隠蔽するための、巧妙に仕掛けられたトリックなのではあるまいか。

きっと、ヤツが作る舞台というのは縱橫に張り巡らされたトラップが常に観客の興味を引きつけ、あらぬ方向へと注意を逸し続けるようなものなのだろう。そうしてきっと張り巡らされた無駄口の弾幕の向こうに、隠しようのないヤツの本性がきらめいてしまうような、そんな作品なのだろう。私はきっとそれを見逃さないように捕捉してやろうと思う。近年、あんなにセンスの鋭い若者にはなかなか出会わない。たとえ、最後の一つまで空箱の用意された空虚のマトリョーシカのような劇であろうとも、舞台空間に漂うやつの腐臭を、私は決して見逃すまいと思うのだ。